アメリカ人にとってビジネスは儲ける為にやるもので利益が最重要であること、ビジネスマナーは気にしないように思われがちですが、実際は日本もアメリカも変わりはありません。ただ、習慣や考え方は少々違っているところがあるので今回はアメリカ人とのビジネスにおいて知っていると安心するビジネスマナーについてご紹介します。
アメリカのビジネス文化では服装は様々
初めての面談の時、男性の場合はビジネススーツにネクタイを、女性の場合はシンプルなスーツを着用された方が無難です。これは日本でも同じ、ビジネスでは第一印象が大事なので派手なものよりも落ち着いた色をお勧めします。ただ、それ以降の面談では相手に合わせた服装にすれば問題ありません。
東海岸の地域ではほとんどの人がビジネススーツを好み、西海岸の地域ではカジュアルな服装が一般的です。またアメリカ本土ではありませんが南の島ハワイではアロハやムームーが立派なビジネススタイルです。ただし企業の重役たちは、ほとんどの地域でフォーマルな服装を身に着けているので面談の相手によっても服装を考えることが必要です。
日本から飛行機で長時間のスーツでの移動は大変です。できればリラックスする為のカジュアルな服装で出かけたいのですが、現地に到着してからスーツに合う靴を忘れた、などよくある話です。お気を付けください。
アメリカ人の商談と名刺交換のタイミング
アメリカでも名刺(business card)を使いますが、その使い方は日本とは異なり驚くこともあります。日本人はビジネスマナーとして、まずは名刺交換から名前を名乗り、頭を下げて挨拶をしますが、アメリカでは日本のようなお辞儀の習慣がない為、まず名前を名乗り笑顔で握手をします。初対面の人との握手は、しっかりと相手と目を合わせてがっちりと握手をすることが大切です。この握手の仕方で相手はこちらの商談に対する意気込みを読み取り、商談の内容も相手のペースになってしまうといっても過言ではありません。
また自分が名刺を渡したにもかかわらず、相手が名刺を出さなくてもあまり気にしないでください。渡した名刺をすぐポケットにねじ込んだり、メモ代わりに使われたりと粗雑に扱われることもありますが、その行動を見て驚かないでください。アメリカ人にとって名刺は単に「連絡先を書いた紙」なのです。例えば、1度ミーティングをして今後も付き合うという必要があれば改めて名刺を出されたり、次に会う必要がないと判断された場合には無駄になるので名刺を渡さないなど、アメリカ式合理主義と思ってください。商談の最後になって名刺を渡されることはよくあることです。こちらから「名刺をください」と言うことは失礼ではありません。
渡された時は相手の名前の発音やアクセントを確認することをお勧めします。逆に日本人の名前(Kenichi=ケンイチをケニチ、Yuko=ユウコをユコなど)でわかりづらい発音やアクセントを聞かれることもあります。世界中で日本人の礼儀正しいビジネスマナーは知られていますから、相手のアメリカ人が日本式の対応をしてくれることもあり、そんな時はこちらに好意を持っているとし、リラックスして商談の本題に入れます。
アメリカのビジネスで注意したいこと
アメリカ国内では時差の問題もビジネスの上で注意したいことの1つです。
アラスカやハワイなどは別として東海岸から西海岸の間に4つの時間帯があります。訪問する時は必ずアポイントメントをとり、約束の時間に行くのは当然のマナーです。例えばカリフォルニア州から隣のアリゾナ州で相手と午前9時の訪問を約束した時に1時間の時差を忘れてオフィスに着いたら午前10時だったという失敗で商談が破談になることもあり得るのです。また、アメリカには夏時間があり1時間早くなりますがアリゾナ州では採用されていない為、夏時間の間はカリフォルニア州とアリゾナ州は同じ時間帯になります。時間の変わる3月第2日曜日と11月第1日曜日の翌日にかけて滞在する時も注意したいことです。
次に日本人の振る舞いで注意したいことですが、アメリカ人向けに書かれた「日本でのビジネスマナー本」では、日本人は困惑している時にも笑うという注意が書かれているようです。何か言わなければいけない時に適切な英語が思い浮かばないなどの理由でニコニコして黙っていると、相手は無意味に笑っていることに内心困っているはずです。
また、日本人は考え事をする時に胸の前で腕を組む癖がありますが、相手によっては「敵対の意思表示」と受け止める人もいるようなので商談中は気を付けたい仕草です。商談時に英語に自信が無く通訳を付けた時は、通訳の顔ばかり見て話すのではなく必ず商談相手の目を見て話し、相手の話をうなずきながら聞けば好感を持たれるはずです。
さいごに
アメリカ人はラフに見えて礼儀正しい人が多いことが特徴です。名刺の交換方法や上座下座の位置などのマナーを覚えることよりも、相手を敬う気持ちと気配りを忘れずにハッキリと言いたいことを伝えることがビジネスマナーで大事なことです。