1年間の40%は休み!?ドイツ人のオン・オフの切り替え術とは

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BMWやベンツに代表されるように「ドイツ=技術大国」のイメージが強く、「ドイツ=休みが多い」というイメージはあまりないかと思います。ヨーロッパの他の国では、スペインがシエスタ(=昼食後の昼寝)があることからたくさん休んでいるイメージが強いですが、その陰に隠れて実はドイツも、かなり休みが多い国なのです。

 

4週間の休暇を取ることが法律で定められている!?

ドイツ ビール 出典:http://tabizine.jp/wp-content/uploads/2015/10/45383-08.jpg

日本ではGWや年末年始の休みプラス有休を組み合わせることにより、10日前後の連休を取ることができればかなり長い休みだと誰もが感じると思います。しかし、ドイツではこれより遥かに多く、最低でも24日間の有休を取ることが連邦休暇法で定められています。この法律に従い、多くの会社では法で定める日数よりも6日間多い30日間の有休を設定しています。

また、日本では体調を崩した際には有休を使い会社を休みますが、ドイツでは有休とは別に6週間まで体調不良を理由に給料を貰いながら休むことができます。この事実を知ると「ドイツ=休みが多い」というイメージに変わった方も多いのではないでしょうか。

さて、これだけ休暇が多く体調不良でも休みやすい制度の下でドイツ人はどのように仕事をしているのでしょうか。日本では「この案件は担当の○○さんにしか分からない」というような話もよく聞きます。しかし、ドイツではここに大きな違いがあります。大抵の会社では、一つの仕事・顧客を複数の社員で共有して行っています。その為、そのうちの一人が4週間の休暇を取っても、多少の引き継ぎをするだけで業務に支障が出ない仕組みになっています。

 

ドイツ人の労働時間は日本人より25%も短い!?

ドイツ オフィス         出典:http://cdn.thenextweb.com/wp-content/blogs.dir/1/files/2012/10/09.-SponsorPay-02-520×346.jpeg

ドイツでは会社が設定する毎年約30日間の有休を使いきり、長期の休暇を取る人が多い為、その分日々の残業が多いのではないか、または日本よりも一人当たりの仕事量が少ないのではないか、と疑問に思う方もいるかもしれません。しかし実情は残業も少なく、仕事量は日本と大差ありません。

ドイツでは労働時間が短い分、時間内にいかに多くの仕事を行うかという工夫がなされています。実際に、OECDの調査によると、2012年の労働時間1時間当たりの生産性はドイツが約60ドルで、日本が約40ドルと大きな差が出ておりドイツ人の働くことに対する姿勢が結果に現れています。

では、実際にどのような工夫がされているのでしょうか。まず一つ目に、時間の管理をしっかりと行っています。就業開始が8時であれば、8時には仕事が始められるようにしておく、会議や商談の時間が1時間と決まっていればきちんと時間通りに終わらせる、コーヒーブレイクを10分間と決めたら10分後には仕事を始める等、聞くと当然のことではありますがその当然のことをしっかりと行うことで、労働の生産性を高めています。

二つ目に、常に仕事の効率性を上げる努力を続けています。各人により同じ仕事であっても、やり易い方法や効率的な方法は異なります。一般的にはメールでのやり取りが効率的だとされている会社でも、自分は電話での方が早く効率的にできると思えば、自分のやり方で行い労働生産性を高めています。

休暇前に仕事を終わらせるため、残業せず定時に帰るために、と全員が仕事の効率を上げることを意識することで労働時間が短いにもかかわらず高い労働生産性を実現しているのではないでしょうか。

 

日曜日は会社もスーパーもぜーんぶ休み!?

ドイツ 街並み 出典:http://sekaiichiweb.com/wpcontent/uploads/2014/04/%E8%A1%97%E4%B8%A6%E3%81%BF-600×450.jpg

今までの内容でドイツには休みが多く、さらに労働時間も短いことがお分かり頂けたと思います。ドイツには国民が「働く」ことに関してさらにユニークな法律があります。労働者や小規模商店の保護を目的に導入された 閉店法(Landenschlussgesetz)という法律です。この法律により、一部例外を除き日曜日に商店の営業は原則禁止されています。この事実を知らずに日曜日を迎えてしまうと、食べ物がない!ティッシュがない!といった緊急事態に陥る可能性もあります。

しかし、そんな日曜日でも日用品を購入できる数少ない場所があります。まずは、中央駅(Hauptbahnhof)や空港(Flughafen)の中にあるキオスク等の商店です。場所によってはパン屋や本屋を併設している駅や空港もあるため、大変便利です。次にガソリンスタンド(Tankstelle)に併設されているキオスクです。ここでは食べ物だけでなく、日用品も一通り揃っており、駅や空港に併設されているキオスクよりも広く、陳列棚に並ぶ商品の種類も豊富な場合が多いです。営業時間も朝早くから夜遅くまで開いているため、価格は少々高めです。

そして最後に、公園や街の広場で開かれる蚤の市(フリーマーケット)です。こちらは食べ物や日用品というよりも、衣服や雑貨が中心な場合が多いです。商店が休みの日曜日であっても、ドイツでは蚤の市で掘り出し物を探す楽しみ方があります。また、普段は普通のカフェやレストランでも、日曜日限定で朝食ビュッフェを行っているところも多くあります。10ユーロ前後で、パンやオムレツ、フルーツなどが食べ放題で多くは時間制限もありません。少しだけ早起きをして、綺麗なドイツの街中で小鳥のさえずりや教会の鐘の音を聞きながらゆっくりと朝食を楽しんでみてください。

 

さいごに

いかがでしょうか。ドイツには「働く」にまつわる日本との違いが多くあることがわかって頂けたと思います。長く休暇を取るため、残業せずに早く帰るためのコツをドイツでお会いした方々に尋ねてみてはいかがでしょうか。また、日曜日の過ごし方も家族と公園に出かけたり、友人とレストランでゆっくり食事をしたりと、仕事もなく商店も休みだからこそできる、ゆったりとした時間の過ごし方を是非お試しください。

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