世界一の自動車大国アメリカでは、車社会と言われるほど人々の生活に自動車が欠かせないものです。ビジネスの場合、相手が全てエスコートしてくれる場合は別ですが、現地で移動する時に利用できる公共交通機関が便利な都市は大都市でもほんの一部です。
アメリカは日本で発行される「国際運転免許証」が有効な国です。日本の有効な運転免許証を持っていれば簡単に「国際運転免許証」を申請し発行することができます。日本と比べるとルールやマナーで気を付ける点もありますが、アメリカではレンタカーを借りて自由に移動することをお勧めします。
レンタカーを借りる準備
国際運転免許証は各都道府県の運転免許センターで「日本の運転免許証」、「パスポート(申請中の場合パスポート引換証など渡航を証明するもの)」、「写真1枚(縦5cm×横4cm)」、「申請用紙(窓口で入手可能)」、「手数料」を用意して申請すれば1年の有効期限で即日発行されます。
レンタカーの予約は出発前に日本で済ませておけば安心です。到着してから借りる場合は、希望の車種がなかったり借りるまでの手続きに時間がかかります。各社インターネットのサイトでキャンペーンの割引料金や保険や返却時のガソリン代がパッケージになっているお得な料金設定などありますので、現地で直接借りる手間と時間を考えると楽でお得です。
アメリカには多くのレンタカー会社がありますが日本での予約・問い合わせ先もあり、現地で事故や故障した時のことを考えると、全米各地に営業所がある大手のレンタカー会社(ハーツ、ダラー、バジェット、アラモ、エイビス、ナショナルなど)が便利で安心です。
予約には目的と人数によって車種を決め、日にちと借りる営業所と返す営業所などが必要で、会社によってほとんどが25歳以上など年齢制限もありますのでご注意ください。基本的な料金構成は、利用日数や車種に応じた基本料金(自動車損害賠償保険LPを含む)に税金と任意保険(車両損害補償制度LDWまたはCDW、搭乗者傷害保険PAI、携行品保険PECまたはPEP、追加自動車損害賠償保険LISなど)とカーナビなどの追加装備を付けた場合それらが加算されます。各社の電話オペレーターに確認したりインターネットのサイトで確認して料金と条件を比べ、自分のスケジュールと予算に合わせてレンタカーを借りましょう。
任意保険については現地でどれに加入するか尋ねられますから、そこで伝えれば大丈夫です。この保険料の加算で意外と1日の料金が高くなる気がしますが、海外での運転で万が一の保険としてフルカバー(全部)で追加されることをお勧めします。また、クレジットカードを持っていない場合は現金で高額なデポジット(保証金)を請求されるか借りることができないこともあるので、クレジットカードは必ず取得してください。
レンタカーを借りる手順と注意点
レンタカー会社の営業所から車を借り出すことをチェックアウト、返却することをチェックインと言いホテルの場合と逆になります。日本から到着して空港から借りて同じ営業所へ返却するパターンが一般的なのでご紹介します。
大きな空港だと到着ロビーにレンタカー会社のカウンターがある場合はそこで手続きをするか案内され、各レンタカー会社のシャトルバスで空港の周辺にある営業所まで送迎してくれます。空港の建物から出たらCar Rentalとありますのでそこで待っていると、何台も巡回しているので次々とシャトルバスが来ます。
営業所の中に入るとカウンターがあり、チェックアウトの手続きをします。「国際運転免許証」、「パスポート」、「クレジットカード」、「日本の運転免許証」、「予約確認書」を出せばスムーズに手続きができます。免許証として効力があるのは実は「日本の運転免許証」です。「国際運転免許証」は「日本の運転免許証」の正式な翻訳として認められている物なので一緒に提示してください。この時に任意保険の案内や、もし契約者以外(同行者)が運転をする時は追加ドライバーの登録と料金が加算されます。契約書にサインをしたら契約書をホルダーに入れて車の駐車してある番号を書いて渡されます。これはチェックインの時に必要になりますから失くさないようにしてください。
車のキーは、一緒に渡されるか車にすでに付いている場合があります。右側通行で左ハンドルというのは緊張するものです。営業所を出る前に最低でもカーナビの操作方法と地図で目的地の確認、ウインカーとワイパーの位置、ライトのボタンの位置、サイドブレーキの位置、パワーシートのレバーの位置、ガスタンクの位置と開け方、ほとんどの車はオートマチックですがフロアシフトかコラムシフトかの確認をしておくと運転中慌てないですみます。
出発前にインターネットなどでアメリカの道路標識を見ておくこともお勧めします。営業所の出口にはブースがあり係員が契約書のホルダーと車両番号をチェックしています。出入口は別で路面にギザギザの出っぱりがあり、逆に進むとタイヤがパンクしますので気を付けてください。
運転中の注意点
日本のJAF(日本自動車連盟)とアメリカのAAA(アメリカ自動車協会・トリプルA)は、会員相互サービス協定を結んでいるのでJAFの会員証を提示すれば同様のロードサービスを受けることができます。AAAが独自に発行している各州別地図はとても優れた地図で日本で有料で手に入れることができますが、現地のオフィスでは無料で入手することができます。
アメリカの道路は通りの名前が番号になっていたり、信号機の所に通りの名前が書いてあるので慣れてくるとわかりやすいです。フリーウェイにも番号があり北南、東西の表記と出口も番号があるのでスピード(1マイル=1.6Km)に気を付け右側通行をいつも意識していれば大丈夫です。
フリーウェイは日本の高速道路と違って無料ですが、地域(フロリダ州など)によってはトールロードという有料道路もあるので運転する前に料金をすぐ出せるようにしておくと慌てないですみます。フリーウェイに入る時、合流する所にYIELD(ゆずれ)という標識があります。これは本線を走っている車が優先になりますので気を付けてください。合理的だと感心するのは、赤信号で安全確認をすれば右折できることです。赤信号の右折でいつまでも信号が青になるのを待っていると後ろからクラクションを鳴らされます。ただし、場所によっては赤信号での右折禁止の標識もあるので注意が必要です。
信号のない交差点では、一番最初に交差点に入った車から順に発進するというルールがあります。どちらが先か微妙な時は右側の車が優先で後はアイコンタクトなどで譲り合うという各自の判断に行動の決定をゆだねるものが多いのもアメリカならではです。いくつか例を挙げましたが、慌てず落ち着いて安全運転を心がけていればなんとかなります!
レンタカーの返却
さて、レンタカーの返却でガソリンは満タン返しが基本ですが、満タンで返せなかった場合には別途、ガソリン代をレンタカー会社に支払うことになります。通常だと返却直前にガスステーションで給油するのが望ましいので、車を借りた時に営業所の近くのガスステーションをスタッフに聞いておくか自分で見つけておくことです。
給油の方法は日本と同じセルフサービスが主流ですが支払方法はクレジットカードを使ってポンプの場所で支払う場合、アメリカで発行されたカードを使用しジップコード(郵便番号)の入力が必要になるため、旅行者はキャッシャーに行ってクレジットカード、または先に現金を渡して自分のポンプナンバーと満タンにするか何ドル分入れるかを告げて、ガソリンを入れ終わったらまたキャッシャーに戻りクレジットカードを返してもらう、現金で多めに預けている場合はお釣りを貰うようになります。
満タンにしたら営業所のCar-Return のサインに誘導され、携帯式の精算機を持っているスタッフに契約書のホルダーに返却時の日時、距離計のマイル数、ガソリンの残量を記入して渡せばチェックインは終了です。料金はクレジットカードに請求されます。来た時と同じシャトルバスに乗りドライバーに自分の乗る航空会社を伝えれば、そのターミナルの出発ロビー前で降ろしてくれます。
さいごに
一番の心配はトラブルに遭ってしまった場合の対応方法だと思います。アメリカでは駐車違反の取り締まりはかなり厳しいです。旅行者の犯しやすいスピード違反では警察官がパトカーを降りて来るまでハンドルの上に両手を置いて座って待っていることです。警察官が窓を叩いたら窓を開けて動かず質問に答え、運転免許証や契約書のホルダーが胸ポケットやバッグに入ってることを伝えてから出します。違反チケットをそのまま放置して日本に帰国してもレンタカー会社の契約者情報で必ず罰金の請求から逃れることはできません。
もし、事故に遭ってしまったら警察とレンタカー会社に必ず連絡してください。動転して、「I’m Sorry」 などと言ってはいけません。故障してしまったら、大手レンタカー会社なら日本語サービスを行っているところもあるので、連絡は必ずすることです。JAFの会員であれば会員証の提示でAAAのロードサービスを利用することもできます。
トラブルは避けたいものですがアメリカ式の自主性を理解し、自分の判断と行動に責任を持つことを忘れなければ滞在中はレンタカーで快適な移動ができます。