中国の国内線は、一般的にトラブルが多いと言われています。中国出張のベテランなら、30分~1時間の遅延などトラブルに入らないことをよく理解されているでしょう。ここでは中国ならではのケースをご紹介したいと思います。
機内で現金盗難
機内で現金を盗まれたエピソードをご紹介します。その日は国内出張で、山東省・青島から北京行の国内線に搭乗しました。5月で暖かくなり、機内でも薄着でよいとパーカーを脱ぎました。すると分厚い財布も負担に感じ、パーカーと財布を別々に機内持ち込みのバッグに収納し、そのバッグは普通にオーバーヘッドロッカーに入れました。ところがこの時、バッグを寝かせたまま仕舞い込んでしまいました。
ロッカーを開けるとバッグのファスナーは目の前です。そして機内には、この行為を凝視していた人間がいたのです。北京空港に着陸した後、空港内で軽食をとり、会計をしようと財布を取り出したところ100元札のみ、きれいさっぱりなくなっていました。現金以外には手を付けなかったところに、知能犯、常習犯の匂いを感じます。
軍事演習で4時間待ちに
次は、山東省・烟台から上海へ戻る時のことです。烟台空港は空軍基地を兼ねています。ある夏の夜、時間通り搭乗が始まり機内で出発を待つばかりでした。すると夕立が襲い掛かり、雷鳴も響き始めます。やり過ごすまで時間がかかるかも、という予感はありました。ところが雷雨がピークを過ぎても飛ぶことはなく、延々4時間以上も機内に閉じ込められたのです。雨があがると空軍の演習が始まり、飛べないというアナウンスがありました。民間より軍隊優先です。続いて機長から上海が雷雨で出発がさらに遅れる、という知らせがありました。すると乗客たちは一斉に、上海の知人に電話をして本当か確認します。そうした事実がないことがわかると、乗客は「機長は何を寝ぼけている」と客室乗務員に食ってかかり、機内は大荒れとなりました。時代が変わり、ごまかしが通じなくなっていたことを、機長は理解していなかったのでしょう。
チェックイン後にキャンセルされると
航空便がキャンセルになるとどうなるでしょうか。中国では使用機材の到着の遅れなどで1時間以上遅れることは普通にあります。チェックインの段階で「遅延」と表示されていれば、最低1時間30分は覚悟しなければなりません。2時間を超えると搭乗口付近の雰囲気は荒れてきます。それを見計らうように、弁当の配布が始まります。しかしこれはいい兆候です。まだ運航する意志を持っていることの表明だからです。
不幸にも運航中止が決まると、バスで空港付近の航空会社御用達ホテルへ案内される羽目になります。中国標準では二つ星級の安いホテルです。2人一部屋利用なら無料ですが、1人部屋を希望する場合、100元を追加で払う必要があります。翌日はホテルが責任を持って起こしてくれるので安心です。嫌なら別ホテルを取る選択肢もありますが、翌日の集合まで自己責任となります。
さいごに
このように中国の国内線は何が起こるか見当もつきませんので過密スケジュールは禁物です。出張の際は余裕を持っておきたいところです。